2013/06/28

新入りコック39歳元坊主。
前からレシピを録音してくれとお願いしていて、最近ようやく録音してもらったようだ。80年代のご機嫌なインドポップスからダライラマ法王の法話までいろいろ飛び出る彼の携帯電話に新たなバリエーションが加わった。

「塩スプーン2杯、醤油3杯、砂糖100グラム…」モバイルから聞こえるマネージャーソナム氏の声を必死に聞きながら仕込みをする彼をはたから見て、どう考えてもノートにメモ書きしたほうがいいんじゃないか、録音するのだって手間だったろうにと思う。

そこでハッと気づく。
これはやっぱり元坊主であるがゆえということか!

朝な夕なに繰り返し繰り返しお経を唱え、自らの口と耳で、自らの肉体で、勉強してきただろう彼にとってこれはごく自然なことなのだろう。紙っぺらに走り書きなんてもってのほか。ひたすら繰り返し自分のものにする。そういうことか。そういえばお坊さんに限らず、子供達も朝から大きな声で音読している光景をよく見かける。
あともしかしたら口伝による継承にこだわりがあるのかもしれないし。

うーんまた気づいちゃったよオレ、と今日もお酒が進むのです。





2013/06/27

みんなが口々に
「インド人がいっぱい」って言っている。
ここはインドなんだけど。


2013/06/25

ようやくお目にかかることができた。
こいつに乗って、街を破壊して歩きたくなるぐらいカッコいい。



2013/06/24


朝、ちょっと早めに行って店の中の写真をいろいろ撮ってたら
撮った写真を見た店の女の子に
「ニョンバ!」(キチガイ!)って言われた。

まあ君らには僕の写真のゲージツ性はわからないだろうよ。
そして僕には、モバイルの待ち受け画面を自分のとっておきの決め写真にする君たちの感覚がわからないのだよ。



2013/06/22

北インドは豪雨によりあちこちで洪水がおこってるようで、死者1000人とかニュースになっている。ここダラムサラは最近晴れ間が多いくらいだが。

仕込み中の朝のキッチンでもその話題。
玉ねぎを切りながら、ボロボロ涙を流し(玉ねぎのせいで)
「ホンット、かわいそうでかわいそうで…」(半分僕の推測)
と、一芝居して豪快に笑い飛ばす39歳元坊主。

彼の後ろ姿はトトロとそれほど違わない。


2013/06/21

みんなとにかく歌うのが好きだ。
僕のiPhoneでBGMを流しても、知らないくせにみんなそれぞれ勝手に歌ってる。勝手なアレンジで。
まあ、ご愛嬌なのだが残念なことが一つ。
好きと上手はちがうんだな、これが。

たまに、気が変になる手前の自分が
キッチンにたたずんでいる。



2013/06/20

かまけるのもいい加減にしたほうがいいかもしれない。




2013/06/19


猫が道を横切るのはよくない知らせだと
あの娘は言うけど
僕にとっては吉兆でしかない。


2013/06/18

すこしづつすこしづつ
距離を縮めるのが
僕のやり方。


2013/06/17

細かいことなんかどうでもいいくらい
あの娘のことが気になっちゃってんだよな。
わかるよ、そういうの。



2013/06/16

作ってる途中なのか、壊してる途中なのか、はっきりさせてほしい。


2013/06/15

友人と下の街まで行った時のこと。
露店で買い物をしてた友人が突然えらいで剣幕で怒っている。
品物を包む新聞紙にダライラマ法王が載っていた。
「なんで私がチベット人だってわかっててこんなことするの?!」
インド人の店主に悪気はなかったようでごめんごめんと謝っている
店主から新聞紙を取り上げ、彼女はさっさと歩き始める。
鞄にしまうのかなと思って、あわてて後ろから追いかけると、彼女はポケットからライターを取り出し新聞紙に火をつける。
買い物客で賑わう道の真ん中に、ふと立ち上がった真っ赤な炎。
それはあっという間に燃えかすとなる。
インド人達が驚いている。




2013/06/14

どしゃ降りの後。
道には上の八百屋から流されて来ただろうトマトやら茄子やらが散乱している。あのオヤジの泣きそうな顔が目に浮かぶわい、なんて考えながら下を向いてボヤボヤ歩いてたら、牛に足を踏まれる。

そういえば昔デリーで象に足を踏まれた記憶があるのだが、気のせいか。


2013/06/12

どうしたって行ったことのないところに足が向く。
そういう性分だ。



2013/06/11


どうやら本格的な雨期が始まりつつあるようだ。
細かな雨が一日降り続ける。灰色のダラムサラ。

こうやって雨に降り籠められて部屋にこもるのは嫌いじゃない。
ベッドに大の字になり、天井の無数の羽虫を眺める。
めずらしくジャニスなど聞きながら。

外に出ると、豚の臓物かというぐらいゴロッとしたなめくじがうじゃうじゃいる。



2013/06/09

意外とせこい商売してんなグーグルも。



2013/06/08

チベット人の友人に子供の遊びを教わる。

日本でいうところの「アルプス一万尺」みたいなやつ。
歌に合わせて、2人で手を合わせて、歌はどんどん早くなるというような感じ。
なんだこれなら簡単簡単と始めるが、なんだかうまくできない。
あれ、おれこんなに鈍臭かったか思ったところでふと気づく。
日本なら、「右左」もしくは「右左右左」でワンセットなところが、「右左右」、「左右左」とくるのである。

おおっ、もしやこれは「チベット3の倍数の法則」ではないか。
お寺を回るのも3回1セット。4周めに入ったら正しくは6周回らなければいけないし、何かにつけて3回づつというのがチベット仏教である(だいぶ大雑把すぎる言い方で恥ずかしいけど)。こんなところにもにじみ出てくるのかと、やや興奮する。

そういえば前にみんなでダンスを踊った時も、どうしても足がうまく運べなかったのは、頭の中で「右左、右左」と考えていたからで、あれもそういえば「1、2、3」、「1、2、3」でくるくる回ってれば上手に踊れたのではないか。

日本人がどうしても「七五調」から逃れられないように、チベット人は生まれながらにしてワルツな人だということか。
うーん、またチベット人の真髄に一歩近づいてしまったような気がするが、気のせいだろうか。





2013/06/06


引っ越した。
キッチン、ガス付き。何より水が出る。前のところはとにかく水不足だったので、じゃぶじゃぶシャワーを浴びれる幸せ。

窓の外に広がる風景はあんまり変わらないけど、ほんの少し角度が変わっただけで夜の明かりが目新しい。
ちょっとねじを巻き直すことにしよう。



2013/06/05


キッチンで突然はじまる女の戦い。
この中で誰が一番若いかということで、2人がどうしても譲らない。
チベットの人たちは出生証明というか戸籍自体がないので、自分の誕生日も知らない人がほとんどだが、当然年もアバウトだし、本人が言うのをそうかと聞く以外はない。でもどうみてもそれはないんじゃないかという人が23だか24だかと言って聞かない。それで本気で喧嘩が始まる。

どこの国でも女の人に年の話はふらない方が賢明だ。
結局2人はお互いに「アジャ」(年上の人に対する呼びかけ)と呼び合っている。おー、怖っ。

チベット人のお店で軽く「アジャ」なんて呼んだらまずいんだな。日本の正しい酔っぱらいのように、どんなおばさんにも「おねえさん」と呼ぶべきだね。






2013/06/04

ダライラマ法王のティーチングの4日間が終わった。
今日最終日の法話が始まる前、みんなでマントラを唱えている時、10歳位のお兄ちゃんに背負われて半分寝ている5歳くらいの男の子の口が、確かに「オン・マニ・ペメ・フム」と動いているのを見て、チベットの底深さを感じたよ。



2013/05/31

チベット人とつき合う上でどうしても避けて通れないのがバター茶の問題である。
バター茶が大好きと言う日本人に会ったことがない。僕自身、勧められればそりゃ飲むけど、ほんとは普通のミルクティーとかコーヒーとかのほうがいい。しかもそんなに何杯も飲むもんじゃないだろうと思う。でもみんないっぱい飲むんだよな。

そんなバター茶問題に一筋の光。今日教わったのが「バター茶のお茶漬け」。冷や飯に塩昆布のっけてバター茶をかけるだけなんだけど、これがなかなかおいしい。今日は朝食べたけど、絶対飲んだあとの〆にいいはず。あの濃厚さが酔っぱらいの狂った舌と胃袋にはたまらないはずだ。薬味としてたっぷりの万能ネギや高菜や紅ショウガなどなんてイメージが膨らむ。まあ豚骨ラーメンみたいな気持ちになってるわけだが。

これでチベットと僕の距離がまた一つ縮まったななんて思ったりするんだけど、チベット人は誰一人として、そんな食べ物認めてくれないんだろうな、きっと。




2013/05/29

6月1日からダライラマ法王のティーチングがあるということで、またわさわさとツーリストが増え始めた。当然店も忙しい。

どこの世界でも客は勝手な事を言うもので、閉店時間すぎて、さあまかないだというころにゾロゾロやってきて「わざわざダラムコットから来たのよ(結構遠い、歩いて30分ぐらい)わたしたちだけ特別に、お願い!」みたいなことを平気で言いやがる。どの口がそんなこと言えるのかとほっぺでもつまんでやりたくなる。笑顔で「See you tomorrow」って言うけどね。

どうしてビールがないのかって言われても困る。ここはそういうとこじゃないんだよって言うしかない。
冷蔵庫にキンキンに冷えてるのはあくまで僕のためのビールなんで。


2013/05/28

最近のダラムサラの話題は中国からのスパイが捕まったという話。
ある人物を毒殺するよう命を受けてきたらしいが、事を起こす前に拘束されたようだ。ニュースのスパイの写真を見て、「この人見た事あるー。」とか話してる。小さな街なのでいろいろな噂が飛び交う。
まるで映画かなにかのようだがごくごく身近な話。こりゃゴルゴが来る日も遠くないななんて無責任に考えていたら、まわりのチベット人達がみんな、さいとうたかおの劇画タッチに見えてきてしょうがない。
なんかキャラのたってる顔の人が多いんだよな。